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わんぱくクラブの今日と明日

わんぱくクラブ理事 浦和大学副学長 大久保秀子

 「地域の中で障害児・者、その家族の生活が豊かで充実したものとし、広く福祉の向上に寄与することを目的としています。」

わんぱくクラブのホームページの最初に出てくる「当NPO法人の理念」には、こう書かれています。

わんぱくクラブは、養護学校(現在の特別支援学校)に通う障害児の親たちが力を合わせて2年間かけて学童保育の開設を準備し、1998年に開設した活動から始まりました。既に20年以上を経て、現在では、6つもの事業を地域に根差して展開しています。

今でこそ、児童福祉法や障害者総合支援法など法律に定められた確たる事業ですが、障害児が地域社会で当たり前に成長し、成人し、やがて高齢期を迎えていくことを願い、一歩ずつ実現に近づけてきた、それが、わんぱくクラブの今日の姿です。

早い地域では1970年代から、障害児の親たちが放課後や休日、夏休みなどに「豊かな時間」を過ごせる機会が必要だと気づき、学童保育に着目していました。就学の権利も十分ではなかった時代に、子どもの成長発達に必要な豊かな時間、という一筋の光を見つめて、手探りが続きました。細い道を歩きながら始まっていった活動の多くが、やがてNPO法人や社会福祉法人を設立して、活動を拡充させ、子どものための活動から成人のための活動へと拡大してきました。そして、高齢期を地域社会でどのように過ごせるのか、その課題が見えてきています。

翻って考えてみれば、「豊かな時間」や「家族の充実した生活」をめざしていくためには、通っていく場で待っている職員の温かさ、明るく広々として気持ちよい環境、おいしい食事、体を動かす心地よさ、絵や音楽に親しむ楽しさ、仕事をして社会につながる充実感、地域の人とあいさつを交わす喜び、地域社会の一員であることへの誇り・・・ほかにもたくさんの要素が考えられます。それらが法人の理念に込められています。

コロナ禍、皆が何かに耐えています。障害児・者たちも家族も、当法人の職員やその家族も、地域に暮らす我々、誰一人としてこの状況を避けて通ることはできません。

わんぱくクラブが活動を続ける、拡大する、その陰には常に葛藤と努力があったのと同じく、今、経験したことのない葛藤の中で努力を続けていくことが明日のわんぱくクラブの姿につながります。

ご家族の皆様も冒頭に掲げた法人の理念を改めてご理解いただき、ご利用者あるいは一市民の立場から、この活動の向上や充実をご一緒に考えていただけたらと思います。理念を実現できる地域社会づくりに、共に貢献していけますよう微力を尽くさせていただきたいと思います。

地域の中で安心して暮らすために・・・